第94話「地元で有名な心霊スポット」百物語2013目次

語り:広島生まれのTさん ◆1Kjm5Bjng.
303 :代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX:2013/08/24(土) 06:42:32.55 ID:hqzLBEKk0
【第九十四話】広島生まれのTさん ◆1Kjm5Bjng. 『地元で有名な心霊スポット』
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父から聞いた話。
父がまだ若かった頃深夜に友達とドライブに行くことがよくあったそうだ。
その時同乗していたのは父の高校の同級生二人だった。
その時父は助手席に座っており、友人の片方が運転しもう片方が後部座席に座っていた。
若気の至りかその当時は怖いもの知らずといった様子で、車の少なくなってきた県道をとばしていたという。
深夜のテンションからか話題はその県道にあるトンネルへと移った。
どうもそのトンネルというのが心霊スポットなのだという。
話によると、トンネル内でライトを消すと女の幽霊が出るというものだった。
父はそのことは初めて聞いたらしくどんなものなのか興味津々だった。
暗い夜道をライトで照らしながら走っていると、遠くにぼつんと明かりが見えた。
その明かりが徐々に大きくなってゆく。
それが噂のトンネルであった。
友人は面白がって車のライトを切った。
薄暗いトンネルの中を車が進んでゆく。
後部座席の友人が手をだらんとさげて冗談を言っている。
運転している友人もはははと笑っていて、幽霊などこれっぽっちも恐れていない様子だった。
父もどちらかといえば心霊の類はあまり信じていないほうだった。
確かに心霊スポットだと言われればそう感じるような薄気味悪さは感じられる。
女の幽霊が現れる想像をするとなんだか不気味に思われたが、その姿は見えない。
やっぱり噂は噂だなと思った。
ついにトンネルの出口の手前まで来てしまい、父と友人はお互いになんだという気持ちになった。
アクセルを踏み、ライトをつけた。
そのライトに照らされて、おかしなものが目に飛び込んだ。
それを目の当たりにして父があっと思った瞬間体が大きく傾いた。
友人が思い切りハンドルを切ったのだ。
後ろに乗っていた友達も動揺している。
友人たちもそれを見たようだ。
車内は混乱の中、逃げるように人明りの灯るコンビニにまで向かった。


304 :代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX:2013/08/24(土) 06:43:09.62 ID:hqzLBEKk0
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コンビニまで到着し、お互いに少しづつ冷静になった。
そしてお互いに何を見たか言い合った。
それは三人とも同じ答えだった。
「仏壇」
トンネルが終わった直後の急カーブのガードレールの先に皆それを見たそうだ。
後々話に聞くと、そのカーブでは事故が絶えないそうだ。
事故を起こすのは皆若者で、夜中の事故が多いという。
事故車の多くはライトがついていないのだそうだ。
亡霊が噂となり、その仏壇に仲間を呼び寄せようとしているのだろうか。
その県道は福山グリーンラインという。
(了)