第91話「合宿所」百物語2013目次

語り:50 ◆YJf7AjT32aOX
296 :50 ◆YJf7AjT32aOX:2013/08/24(土) 06:35:29.53 ID:hqzLBEKk0
[合宿所]

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僕が高校1年の時に部活の合宿で起こった話。

僕の高校は、何故か夏の合宿でかなり遠いところまで行く。
しかも、今時一切電波のはいらない圏外の山の中で3泊4日。
高校生には地獄だった。

そんな合宿所での2日目の朝、同級生が言い出した言葉が全ての始まりだった。
「あそこで人が首を吊ってる」
外での朝練の途中、森の中を指差して言うのだ。
正直、僕には変な空気の揺らぎしかわからなかった。
だがそこで、先輩の中にも見えるという人が現れた。
最初はそれで済んでいたのだが、だんだんそれは他の人にまで広まっていった。
2日目の夜には、僕でも感じる気配がヤバいと感じるほどになっていて、空気の揺らぎはいつしか黒い靄にの集まり、そして、人の集団のような形になっていた。
それに、明らかにこちらへの干渉をしたがっている気配があり、
目撃情報が部員内を練習中に飛び交うようになり、
ついに、集団ヒステリーの状態になってしまった。


297 :50 ◆YJf7AjT32aOX:2013/08/24(土) 06:36:08.40 ID:hqzLBEKk0
顧問は合宿で練習が成り立たなくなったことにカンカンだったけれど、
正直あれは止められなかったと思う。
何かあった訳じゃないけれど、それほど、むこうから感じた感情には嫌な感情があった。
大人になってふと思い出した頃、合宿施設について調べてみた。

合宿施設の前には大きな湖があったのだけれど、
そこの湖は、県内でも有数の自殺の名所につながる湖だった。
今はもう行くことのない合宿所だけれど、もう二度と行きたくなくなったのは言うまでもない。

[了]