第92話「予言の電柱」百物語2013目次

語り:ヨサック ◆skAMDOCpdQ
299 :代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX:2013/08/24(土) 06:38:23.53 ID:hqzLBEKk0
【第九十二話】ヨサック ◆skAMDOCpdQ様
『予言の電柱』

小学生の頃、通学路途中のとある電柱が噂になった。それに開いた穴を覗くと未来が見える、と言うのだ。

皆こぞって覗いたが、誰も未来を見る事は出来なかった。飽きっぽい小学生の事、そんな噂はすぐに忘れられた。

中学生になった頃、恐らくは夕刻だったと思う。久々にあの電柱の側を通った私は、懐かしくなり電柱の穴を覗いてみた。

…あれ?穴なのに明るい?昔こんなんだったっけ…?

不思議な感じで目が離せなくなり、尚も穴を覗く。

景色が見えてきた。大きな道路に路線バス。
あぁ、お母さんが仕事に行く時に乗ってるやつだ…
と思った瞬間、バスの左手から白い乗用車が突っ込んで来た!

うわっ、と思わず穴から目を離す。あれ?ともう一度覗くも、もう何も見えなかった。

嫌な予感がした。母に明日バスに乗らないでと言ってみたが、当然ながらそれは無理よ、と言われてしまった。

翌日。母の乗ったバスに、左手から白い乗用車が突っ込んで来た。電柱の予言通りに。
ただしぶつかる直前に止まった為、事故にはならなかった。

その後私は、あの電柱を覗く事は無かった。悪い予言がとても恐ろしく思えたからだ。

最近側を通ったら、電柱の穴は塞がれていた。

【終】