第5話「お岩様」百物語2013目次

語り:雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ
18 :代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX :2013/08/23(金) 21:17:09.21 ID:ME+Mw9fw0
【第五話】 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 様  『お岩様』

後輩の話。

大学生の時分、彼は警備会社でバイトをしていた。
不思議なビルが一件あったのだという。
真夜中にそこで定時の見回りをしていると、廊下に場違いな物が鎮座して
いるのを発見した。

注連縄を巻かれた、大きな岩の塊。
そんな物がデンと置かれている。

とても人が抱えられるような代物ではない。
どこからこんな物を運んできたというのか、思わず驚愕してしまった。
慌てて管理室に連絡すると、警備の先輩は一言だけ注意してくれた。
「お岩様に粗相のないようにな」

そこは雇われ者の哀しさ、言われた通り、触らないようにして見回りを
続けたのだという。
帰りにもう一度覗いてみると、あの大岩は綺麗さっぱり消え失せていた。

「アレって一体何だったんですかね?
 会社の人でも、偉い人達は知っていたみたいですけど」
その後も二回ほど、彼はそのお岩様に相見えたのだそうだ。

【了】