第4話「ガサガサ」百物語2013目次
語り:妖場K ◆ws148WRg2A
- 15 :代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX :2013/08/23(金) 21:12:12.37 ID:ME+Mw9fw0
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【第四話】 妖場K ◆ws148WRg2A 様 『ガサガサ』
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母がまだ若い時、友人と二人で旅行へ行ったそうだ。
泊まったのはとある旅館。日中は温泉に買い物にと大騒ぎだったので早めに就寝することになった。
電気を消してから暫く経った頃。
??…??……
と、小さく耳慣れぬ音がした。
せっかくうとうとしていたのに、と寝つきの悪い母は腹が立ったが、気にせずまた眠ることとした。
暫くしてまた
??…??……
さっきより大きい音。
一度気になってしまうと中々無視できないもので、
母は何の音かしら、どこから聞こえてくるのかしら、とぼんやり聞いていたらしい。
???、???
あら、何か変ね。
?????????
それにこの音、この部屋で聞こえない?
ガサガサガサガサガサ!
- 16 :代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX :2013/08/23(金) 21:13:06.87 ID:ME+Mw9fw0
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枕元で一際大きいガサガサが聞こえた瞬間、母は飛び起きて電気を付けた。途端、音は止んだ。
明かりで目が覚めたのか起き出してきた友人に問うと、夢うつつにそんな音がした気がする、とのこと。
こうなっては正体を突き止めなければ眠れやしない、ねずみでも居るのならば気持ちが悪いと、家探しを開始した。
しかし見つからない。
「ねえ、あの音、この辺からしてたよね。」
ふと呟いた友人の目線の先には、貴重品を入れる備え付けの金庫があった。
わざわざ出し入れするのも億劫だからと、使っていなかったために存在を忘れていたのだ。
ゆっくりと金庫を開くと、内側いっぱいにびっしりと貼られたお札が……。
【了】