第13話「トイレ入道」百物語2013目次
語り:KMT ◆nqnJikEPbM.8
- 50 :KMT ◆nqnJikEPbM.8:2013/08/23(金) 22:17:36.83 ID:1Ytbuggr0
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雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 様 『トイレ入道』
友人の話。
彼は早くから、一人で夜のトイレに行けるようになっていたそうだ。
そんなある夜、いつものように一人でトイレに向かったところ。
トイレの扉を開けると、すぐ目の前に誰かが腕を組んで立っていた。
天井に頭が届きそうなほど背が高く、坊主が着るような黒い服を身に纏っている。
しかし何よりも子供心に恐ろしかったのは、その男がスキンヘッドだったことらしい。
友人がポカンと口を開けて見上げていると、大男はジロリと見下ろしてきた。
「すいません!」慌てて謝罪の言葉を口にし、扉を閉める。
閉めてから漸く「…今の誰!?」と思い至った。
再び大慌てで扉を開いたが、そこには誰も居らず、いつもの便器が鎮座している。
首を傾げながらも、用を足して寝床に戻ったのだという。
「その後も何回か、そのスキンヘッドさんは現れたよ。
すぐ消えるんだけど、何故かいつもトイレにだけ現れてたな。
僕は密かに“トイレ入道”って呼んでた」
そのトイレ入道は、実家がリフォームされてトイレが新しく水洗になってからは、
まったく姿を現さなくなったということだ。
【了】