第37話「京都のアパートで」百物語2013目次

語り:可部 ◆7vU/OMinzs
127 :可部 ◆7vU/OMinzs:2013/08/24(土) 01:34:46.18 ID:f8yflt3K0
『京都のアパートで』

(1/2)
大学時代、京都にいた頃の話です
入学したての頃のこと、当時は白川通り沿いにアパートを借りて住んでいたのですが
夜中の12時くらいになるとドアのノブが外からガチャガチャと回す音が聞こえるようになりました。
はじめは酔っ払いか何かと思っていましたが一週間ぐらい連続でこれが続くので少々うんざりしていました。

ある日、やはり12時頃に、ガチャガチャっと音がしたので、すぐに玄関に行ってみた、するとそこには
ドアノブの音は止んで、今度はスチョン・・・スチョン・・・と妙な音が鳴っていた
ドアの鍵(サムターンという楕円形のやつ)がびくびくと動いているのです
よく見ると郵便受けの方から白い異常に細長い腕のようなものが伸びてサムターンに触れており
その白くて長い腕によってサムターンが開錠の方向に回りそうになって、途中で力尽きてまたもどる、
このとき、スチョン・・スチョン・・という音がしいていたのです。
白い腕は何ものなのか、誰がドアの向こうにいるのか、その時の私には怖すぎてそれを考える余裕は
全くありませんでした。
ただドアノブをガチャガチャ回していたやつが、鍵がかかっていて開かないので今度は鍵を開けようと
している!!!
そう理解した私は思わず大声をあげてしまいました。
すると白い腕は消え、サムタ-ンの動きは止まりました、が、私は朝までドアを見張っていました。


128 :可部 ◆7vU/OMinzs:2013/08/24(土) 01:36:53.94 ID:f8yflt3K0
(2/2)
次の日から私は普段掛けなかったチェーンロックも掛けるようにしました。
その日は夜に何もありませんでしたが、その翌日の深夜12時、私は不意に妙な音を聞き増した
ガラン、と玄関の方で音がしたのです
チェーンロックが外れた音だ! 私は慌てて玄関に突進、するとそこには先日同様、白い長い腕と、
スチョン・・・スチョン・・・と音を立てて動くサムターンが
今にも90°回転して解錠しそうになっているサムターンを見て私は大声で「誰だ!」とわめきました
するとサムターンは動きを止めました。

私は翌日から同じアパートの2つ隣の先輩の部屋に転がり込んで寝起きし、また不動産屋に
新しい物件の紹介を頼みました。
引っ越しが翌日に迫ったある日、深夜の12時ころ先輩と一緒にコンビニで買い物をして来たのですが
ドアを開けたまま先輩としゃべっていると、私の元の部屋のあたりから、ガチャンと音が
誰かが今、ドアをあけて、夜中の12時に私の部屋に入ったのだ
先輩も本気で怖くなり、その日は二人で飲んで朝まで騒ぎました。、
翌日は引っ越し屋に荷物の運び出しも全部やってもらって(入ってすぐなので殆ど荷物はない)
その部屋には二度と入りませんでした。
先輩とはその後、卒業までその話をすることもありませんでしたが、京都のあのアパートは絶対に
何かいたと思います。
部屋のいわくとかは不明です

                                    【了】