第46話「営業妨害」百物語2013目次
語り:かーん ◆UiIW3kGSB.
- 160 :かーん ◆UiIW3kGSB.:2013/08/24(土) 02:23:53.08 ID:8Pjhrnqs0
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【第四十六話】
『営業妨害』(1/2)
私が中学生の頃の話です。
振替休日や長期休暇、クラス替えの前やクラスが変わった後など何かにつけてよく遊園地に行っていました。
ジェットコースターが苦手で何回も連続して乗れない私の一番の楽しみはお化け屋敷でした。
オカルトが好きな皆様なら分かると思いますが、お化け屋敷って割と脅かしポイントが分かりやすいですよね。
機械仕掛けなら尚更。
あの頃の私はそういうポイントが来る前にフライングで驚いた声をだし一緒に悲鳴を上げた後
何もないと安堵した連れが本来の仕掛けに更に驚くのを見るのが好きで…今思えばかなり性格悪いですね。
それも何回も繰り返せば、本当に怖いのが苦手な子は私と一緒に行きたがるようになっていました。
私が悲鳴を上げた後目を瞑っていれば何も見ずにすむからでしょう。
折角のグループデートだったりしてもお化け屋敷に入る時、私の周りは女子ばかりでした。
その日は転校してしまう子のお別れ会で遊園地に来ていました。
基本アトラクションは全制覇するものと決めている私達は大人数で順番に乗り物を制覇していきます。
勿論お化け屋敷もです。流石に人数が多いので3~4人一組で順番に行くことに。
私も3人を連れてお化け屋敷の中に。後ろと両隣からガッチリホールドされながら先へ進んでいきました。
今回も例に漏れずフライングで驚いてみたり意味ありげに立ち止まって後ろを凝視してみたり…
だんだんと強くなっていく彼女達の力に痛い痛いなどと言っていたら
もうルートも終盤なのかこちらがフライングする暇もない程仕掛けがラストスパートをかけてきます。
出口が見えてきたところで地面が振動する仕組みになっているこのお化け屋敷。
立ち止まらせるような仕掛けがされていて、彼女達の握力も最高潮に。
もう痛いと言っても力を緩めてくれません。
一番辛いのはフードでした。もう先に行きたくないのかぐいぐいフードをひっぱってきます。
首がしまって苦しいけど両腕はホールドされてて何も出来ず、
散々驚かしていた手前ここで倒れたら洒落にならないと3人を引きずってなんとか外へ。
- 161 :かーん ◆UiIW3kGSB.:2013/08/24(土) 02:24:47.66 ID:8Pjhrnqs0
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(2/2)
先に出発していた組を合流して安心したのかもうフードも引っ張られず両腕も自由になったので
存分に急き込んだ後にフードは勘弁してよ~死ぬかと思ったって後ろにいた子に言ったんです。
そうしたら私の右腕をおもいっきりつねっていた1人が変な事を言うんです。
「○○(私の後ろにいたはずの子の名前)なら途中から私の横にいたよ」
するともう1人も
「だから4人並んだら狭い!!って言ってたのか。××(私)と一緒に驚かそうとしてるのかと思った」
「だって後ろに1人って怖いんだもん。無理無理」
確かに、通路せまい!!なんて騒いだりしていました。でもそれは割と序盤だった気もする。
じゃあ誰が、あんなに強く私のフードを引っ張れるのか、どう考えても後ろには誰かがいた。
そう思うともう恐怖はぬぐいきれません。
散々驚かせてきた前科がある為当たり前ですが、
誰かにフードを引っ張られてて息が出来なかったの!!と言っても誰も信じてくれませんでした。
それから何度かそのお化け屋敷に行く機会があったのですが、変な事は起こっていません。
私も脅かしポイントの予想や、一緒にいる人を驚かすなんてことはその日からやらなくなりました。
驚かされる側が驚かすなんて事やったらダメですね。営業妨害もいいところです。
皆さまもどうぞお気を付け下さい。
【了】