第26話「墓地裏の窓」百物語2013目次
語り:雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ
- 88 :代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX:2013/08/23(金) 23:49:48.31 ID:ME+Mw9fw0
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【第二十五話】 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 様 『墓地裏の窓』
友人の話。
彼女が今住んでいるマンションは、裏側で小さい墓所と面している。
特に彼女の部屋は、窓を開けるとすぐ下に墓石が見えるのだそうだ。
「いや、これまで生きてきて、幽霊なんか見たこともないし、
霊関係で怖い思いをしたことも無いしね。
この部屋を契約した時も、あまり悩まずに済ませちゃった。
何よりも他所に比べて安かったし、静かだし」
それがつい最近、ちょっと気味悪い出来事があったのだという。
「夜に部屋で寛いでいるとね、ふと冷たい風が通り過ぎるのを感じたの。
窓を見ると、網戸以外が全開になっていたから、閉めたのよ。
それからしばらくして、また頬に風を感じたのね。
視線を上げると、つい先程閉じた窓が、少しだけ開いてた。
『あれっ、確かに閉めたはずなんだけどな?』って怪訝に思いながら、
再び閉めに行ったんだけど……」
窓の前まで行き、閉めようと手を伸ばしたその目前。
いきなり窓がガラッと開いて、そしてその直後、ピシャッと閉められた。
誰も手を触れていないのに。
現在そこの窓は、常に鍵を閉めて動かなくしてあるのだという。
「出来れば引っ越して、ここから出たいんだけど、先立つものがねぇ。
でもまぁ、アレ以外には怖いことなんて起こっていないんだけどさ」
苦笑いしながら、彼女はそう言っている。
【了】