第2話「墓行き」百物語2013目次
語り:わたくし ◆O0RKwPn0UQR0
- 9 :代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX:2013/08/23(金) 21:06:41.98 ID:ME+Mw9fw0
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【第二話】 わたくし ◆O0RKwPn0UQR0 様 『墓行き』
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わたくし、帰途に就くのは徒歩が多いんですね
こう、とっとこ、とっとこ、やって参りますってェと、
「あ、おい、やだね……え、なんだって墓地の脇に出ちまうんだろうね……この道」
なんて、道路に文句言っても仕方が無いんですが、
あの路地に入ると墓地の脇に出てしまう、そんな道順が一本だけある
この、道というのが、木々が空を覆っておりまして、何より灯りが少ない
また両脇が塀になっておりますから、月が隠れてしまうと、夜は大変な暗さです
ぅう、こんな道ですから夜は人通りも少ない……お誂え向きな道でございますな
さて、
降り出しそうな空気ン中でもって、わたくしは帰り道を急いでおりました
お勤めを終えて……ぅう、酒席の後でしたから深夜でございます
で、わたくし、お酒が入ると物覚えが悪くなる、ま、元から好くはないんですが、
これに輪を掛けて悪くなるってんで、うっかり例の路地に入っちゃった
そうしますと一本道ですから、墓地の脇に出てしまいます
「あ、また、なんだってココに出ちまうン……」
なんて、思ったところで、わざわざ戻るのも馬鹿馬鹿しいですから、
点々とする灯りが恐いけれども、ぅう、もう、行くしかございません
- 10 :代理投稿 ◆YJf7AjT32aOX:2013/08/23(金) 21:08:37.92 ID:ME+Mw9fw0
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(2/2)
ぇえ、いつ雨が降って来てもおかしくありませんでしたから、
つっつ、つっつ、つっつ、つっつと、早足で暗がりを進みます
程無くして一本目の電燈が近付いて参りまして……二本、三本……四本……
「ぅうッ」
喉の奥から妙な声を出して立ち止まった
四本目の電燈の、灯りの範囲より少ゥし手前に、何か落ちてる
風が吹いているんでしょうか、その、白っぽいのが動くんですね
灯りの外なのも手伝って、ざわつく影が生きてるように見える
「ぅう、え、嫌だなァ……」
なんて心地で、こう、ふぅっと上を見上げますと、
青白い顔した人達がずらーッ……と、塀の上から顔を出して、見下ろしておりました
ぇえ、あの、道に落っこちてたのは、コンビニ袋でございましたね
青白い方々の、えー、その中でもって特別にひょうきんな方が、
「ご趣向だよ、いいか、生身の奴があれに驚くよ、ね、で、ひょいと上を見るってェと……」
こんな話でもって置いたンでしょうな、え、怪談のね、この、遊びの心を知ってますよ
お馬に乗らないでお盆前に歩ってきた方々ですから、ぅう、生き生きと、こう、人をおちょくりますよ
きっと言ってましたよ、あン時、わたくしが上手い事引っ掛かったもンだから、
「いいねェ、おい、おいッ、いいよ、あれァ……ええ、どうもこりゃ、へっ、はかゆきが良いよォッ」
【了】