第100話「僕のこと。」百物語2013目次

語り:50 ◆YJf7AjT32aOX
319 :50 ◆YJf7AjT32aOX:2013/08/24(土) 07:03:25.87 ID:hqzLBEKk0
[僕のこと。]

(1/2)
今度の話も、先に語ったデイタラボッチ的何かを峠の話。
だけど、今度は僕としてはあまり気持ちの良くはない話だ。
僕と友人Aはそんなこんなで色んな経験を一緒にしていたりするのだけれど、
この日のきっかけは、僕がとある店にコーヒーを飲みにいきたいと言い出したのが始まりだった。
いつもは地元の喫茶店で営業時間の24時ギリギリまで居座ってコーヒーを飲みながら話すのが通例なのだけれど、その日の僕は、峠を越えた先にあるお店のオレンジクリームが使われたコーヒーがどうしても飲みたかった。
だがしかし、1人で運転して峠を往復するのは怖い。
ということで誘ったのがAだった。

お互い仕事の終わった20時半頃に出発。
お店には21時過ぎくらいには着く。
夜も浅かったせいか、行きはなんの問題も違和感も無かった。

そうしてお店に着き、お目当てのコーヒーを飲みながら話に花は咲き。
さあ帰ろうとなったのは11時半ごろだった。
峠にさしかかった時にはもう12時。
この峠の、地元とは反対側には大きなダムがある。
昼間はとても綺麗で、冬は雪化粧した姿がとても綺麗なのだけど、
正直浮世離れしていて気持ち悪いところだ。
そんなところを真夜中に越えようとしたのが間違っていた。


320 :50 ◆YJf7AjT32aOX:2013/08/24(土) 07:04:25.78 ID:hqzLBEKk0
(2/2)

ダムが見え始めたころから、バックミラーの向こうがモヤモヤとしだした。
もちろん真っ暗なので姿はわからない。
ただ、何者かが僕の運転する車の後ろをおいかけてきていた。
隣にいたAはあまり感じていないようだったけど、逆に彼女は彼女で、
とちゅうから腕が痛いと言い出した。
どうやら何かがAに影響をあたえたらしく、家に着くまで痛がっていた。
追いかけていた何者かは、トンネルの手前でいなくなった。
結局Aは腕のピリピリ、僕は何かに入られたのか、腸が腹痛とは全くちがう気持ち悪さに襲われ、
散々なお茶会となってしまった。

この話には続きがある。
丁度一昨日、Aと会って話していたこと。
最近Aのバイト中に耳元で男の声やざわざわした音が聞こえるという話が話題に上がっていたのだが、丁度この前の日曜日、僕のバイト中でも同じことが起こったのだ。
そこから知った事実なのだが、2人が全く同じ時期に深呼吸が出来ずみぞおちで詰まるようになっていた。
そして、全く同じ時期に全く同じ症状での不眠に悩まされ始めた。

もともと不規則な生活をお互い送っているため、気が付かなかったのだが、いくつも共通点があったのだ。正直、2人で体験した直近の心霊現象は峠でのできごとだけだった。
今、自分たちの身に何が起こっているのか正直わからない。
が、もう一度鞍馬山に行ってそれでもだめなら…しかるべき場所に相談に行こうとAとは話している。

皆さん、僕は身を以て忠告させていただきます。
今日この場にいらっしゃった皆様にも、いつ何時、何が起こるかわからないものです。
もしかしたら、この百物語を読み終えたあなたの後ろに、
何かが笑顔で待ち構えているかもしれません。
[了]